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◇金物工法

金物工法

 金物工法は、ピン工法とも呼ばれ、接合部に関して、構造力学的に耐えうるか試験をした上で認定された金物を使用し接合する工法です。
接合部に継手仕口を使わないので、軸材(梁・柱)の断面欠損が少なく、組み立て方は簡単なので現場での施工が早いという特徴を持ちます。
構造的観点から見てみると、『金物工法』は通常の『在来工法』と比較すると安定かつ高強度であります。

 阪神大震災では通し柱の欠損部が弱点となり、そこが破壊され倒壊に至った例が数多く報告されました。
『金物工法』は断面欠損が少なく、仕口が弱点とならないメリットから急速に普及し、現在の木造住宅では、『在来工法』のうちの3割以上(地域によっては5割以上)が金物工法となり普及を続けています。

 金物工法に使用される木材は集成材・LVL(JWOOD)といった、エンジニアリングウッドと呼ばれる、品質・強度・含水率のバラツキを無くした製品が一般的となっています。(集成材について詳しくはこちら。LVL(JWOOD)について詳しくはこちら)

 また一方、最近では性能試験・データの整備により、ムク材を金物工法に使用することが可能になりました。
これによりスギやヒノキなどの地域材・県産材の使用が可能となり、公共物件での地域材+金物工法の採用割合も増えています。

在来工法の仕口
金物工法の仕口

HSS金物

 HSS金物は、木造建築の可能性を拡げる次世代木造軸組構法として開発されたフレームシステムです。従来品と比較して小型・軽量化が図られており、且つ在来仕口の約1.5倍の接合強度を発揮します。断面欠損が少ない為、接合部のずれは小さくなり、また、金物は木材内部に隠れるので木造の美しさを損ないません。           
 このHSS金物は耐久性を高めるために、塗装には耐食性に優れたカチオン電着塗装(自動車ボディにも使われる高耐食塗装)を採用し、長年の使用による劣化を防いでいます。           
 また、HSS金物を使用することで、在来工法で必要な羽子板ボルト、各種プレート等、後付けの金物は一切必要ありません。           
 こうした金物の施工が必要ないことに加え、HSS金物自体もピンを現場で打つだけという非常にスピーディな施工が可能なため、工期短縮に大きくつながります。

 HSS金物は、金物工法で使用される金物の中で約3割のシェアを占めており、最も普及している金物のひとつです。その実績は幅広く、一般的な木造住宅はもちろん、3階建て住宅や、グループホームや保育園などの福祉施設、幼稚園や公民館などの教育施設など、様々な物件に使用されています。           
 近年では、中規模〜大規模の公共物件での採用が増えています。これは、大きなスパンが必要とされる箇所には鉄骨や大断面集成材を使用(大断面集成材についてはこちら)し、その他の箇所には比較的コストが安く施工が早い金物工法を使用する方法です。           
 この方法により、従来と比較し大幅にコストを削減した中規模〜大規模の木造建築物の建設が可能になりました。           
           
 HSS金物は、公的機関による耐力試験を行っているため、様々な素材・樹種に対応しています。           
LVL(JWOOD)やアカマツ、カラマツ、ベイマツ、ホワイトウッドなどの集成材はもちろんのこと、ムク材にも対応しています。ムク材ではスギのE70-D20以上の(強度を示すヤング係数が70以上、含水率が20%以下)性能を基準としていますので、ほとんどの樹種で使用が可能になっています。           
 またHSS金物はオープン工法になっているため、使用に際してのフランチャイズ加盟や登録などの制限が一切ありません。
このことが様々な住宅に使用されたり、公共物件での設計仕様に盛り込まれたりする、大きな理由となっています。

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